論文読解を簡単にこなす3つのポイント

はじめに

科学論文を読むのが下手で、自分で読んだり人に教えたりするときに恥ずかしい。

そんな学部生に朗報です。実は論文読解を簡単にこなすポイントがあります。

ここで大事なのは単位時間あたりに早く読めるようになるのではなく、今のあなたの読解力のままで分かりやすく読む方法だという点です。



■ポイントその1 「既知情報」と、「未知情報」とに分ける (Introduction、*Discussion)

英語で書かれた科学論文はたった26文字のアルファベットで書かれている分、何も考えずに読むと、場合によっては単調に見えるようになっています。

科学論文を楽に読む場合は、既知情報未知情報かに分けて読みましょう。Introductionでは、最終段落以外の段落のはじめあたりに既知情報が、最終段落やその他段落のおわりあたりに未知情報が書かれているはずです。一度、既知情報が何かをしっかりとらえることが、その論文のスタートラインに立つことになると言えます。

*なお、Discussionでは、「既知情報」=「先行研究」、「未知情報」=「本論文で明らかにされた検証結果」に置き換えるとよいと思います。



■ポイントその2 「作業仮説」と「実験結果」と「その解釈」の3つに分ける (Results)

Resultsを読むときは、作業仮説実験結果解釈に分けましょう。

作業仮説とは、ポイントその1で分けた未知情報を明らかにするために、具体的に立てる戦略です。これがしっかりしていない実験はわかりづらいものになります。逆に作業仮説が何かしっかりとらえることができれば、自然と論文全体のバランスが取れてきます。

実験結果とは、ご存知の通り、結果そのものです。この多くはFig.やTableに載っているので、本文と併せて手掛かりにしましょう。

そして、必ず、Results内の最後の方で、簡単に結果の解釈が行われるはずです(Therefore〜、These results suggest that〜、などの後)。ここで、得られた結果を拡散させることなく、きちんと結論づけられていることを確認しましょう。

なお、十中八九、Resultsは複数の実験結果から成っています。なので、各結果ごとに以上の3つに分けて理解しておきましょう。

特に、このポイントを、自分の実験に対して日頃から意識しておくことは、非常に有益なことだと強く思います。


■ポイントその3 「事実」と「推測」とをはっきり分ける (特に、Discussionにおいて)

この2つをごちゃまぜにしてしまう人がよくいますが、注意して分けましょう。

これについては、助動詞動詞に着目するとわかりやすいでしょう。

科学論文に限らず世の中の森羅万象は、残念ながら人の手によって全てを証明しきることはできません。しかしながら少しでも前進させるために研究をやるわけです。よって、どうしても、「調べてないけどおそらくこうだろう!」という推測が必要になります。だからこそ、実際に検証した「事実」と筆者の「推測」とを明確に分けなければなりません。逆に、分ければ非常にすっきりするでしょう。

これらは意識すれば簡単に分けることができるのでぜひ挑戦してみましょう。


なお、最後は、「この論文で明らかにされた発見」と「この論文でも明らかにできなかった今後の課題点」の2点を提示して締めれば、ぐっと分かりやすい紹介になりますよ。



■おわりに

パソコンが普及した現在、論文を丹精込めて読む機会はめっきり減りました。ですが、そういう時代だからこそポイントを絞って論文を読むことは重要になってくると思います。

ぜひ、この3ポイントを意識してみてくださいね!

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(本エントリーの文章形式は、このブログの文体をほぼパロッています。ご了承ください。笑)